日別アーカイブ: 2024年3月15日

心を震わす

百年示道塾の経営者仲間で能登沖地震の被災地支援を続けています。
先週の日曜日は当社の社員もつれて輪島へ物資を届けてきました。

震災後、初めて輪島に行きました。
テレビでよく見る、火事になった朝市通りは
震災以降まったく手つかずの状態でした。
あまりの手つかずさにびっくりしました。
復旧の様子が全くありません。
人がほとんどおらずゴーストタウンの様です。
北斗の拳を思い出しました。
自衛隊やボランティアの姿も見えません。

道を挟んで全く燃えなかったエリアと
全焼しているエリアが綺麗に分かれています。
全焼エリアの中にも道路はありましたが、
その道路を挟んで延焼しているところもあるんです。
あんなにくっきり明暗が分かれるもんなんでしょうか・・・

朝市通りからすぐ近くの焼け残った一角に、老舗の和菓子屋さんがあります。
そこのオーナーがボランティアの大学生にお店を貸していました。
県外から大学生がたくさん来ていて、炊き出しやボランティアを泊まりながら
しているとの事。
話を聞いたら、住宅の罹災届の検査が検査官不足で追いついておらず
未検査だから壊すに壊せない状況なので、ボランティアが居ても何もできないとの事。
罹災届の検査員増員だって他県へ応援要請をすればすぐに出来るはず。
政府や行政はなぜそういう応援もやらないのか?
プッシュ型の支援打ち切りという方針にも違和感を感じます。

輪島以外の七尾や珠洲は少しは復旧が進んでいました。
もう少し人が居て、元気に頑張っていくぞ!という空気が感じられました。

輪島はなんかおかしい。
確固たる根拠はありませんが違和感を感じます。

今回は行政通しての支援物資運搬ではなく、個人的に繋がった方々へ届けしました。
輪島の二勢という山側にある集落の大きな倉庫がある個人のお宅です。
避難所生活が厳しいのでとりあえず自宅にて生活する人が増えてきて、
二勢の避難所は人が少なくなってきているそうです。
水道が復旧はしましたが下水はまだ繋がっていない。
しかもその水も飲料には適していないとの事。
でもやっぱり避難所よりも自宅がいいのは理解できます。当たり前の事でしょう。
実はまだまだ飲料水も支援物資も不足している。
しかし避難所に物資を取りにいきづらいそうです。
家が壊れて避難所生活を余儀なくされている人からの目があったり、
あからさまに後回しにされたり。炊き出しにも並びにくいそうです。
きっとそういう言葉もあるのでしょう。
プッシュ型支援がストップしたのでストックの物資も減ってきているのでしょう。

そういう事があるのか!と驚きました。

なので今回の個人的な支援は大変喜ばれました。
届く予定時刻を集落の皆に伝えてあったので、
どんどんとそのお宅に人が集まってきて、笑顔で私達を迎えてくれました。

ニュースやネットなどでは避難者の減少や水道復旧もあり避難所を閉鎖したという情報も入ります。
避難者が減る事は良い事と思っていましたが、色々な事情がある事を知りました。
数字だけ見ていては分からない。
真実は現地に行き、自分の目で見て確かめないと分からないものです。

物資をお届けしたお宅は地元の教育委員会の委員長との事。
その方が皆を代表して、涙ながらにお礼を言ってくれました。

きっと、
避難所からも疎まれ、
支援も打ち切られ、
世の中から必要とされていない孤独感を感じていたのかもしれません。

富山から9人で3台に分けて物資を運びました。
それが嬉しかったとの事。

心を打たれました。

二勢の方たちに少しでも勇気と希望を与えられたのであれば幸いですし
私達もだれかの為になる事の大切さを再認識すると共に大きな力を頂きました。

朝市通りで出会った大学生もみな素敵な笑顔を魅せてくれていました。

おかしな世の中だけど
人として生きる上で大切なことは、ずっと昔から変わらない。
心を震わす事って意外と単純です。

違和感をたくさん感じる世の中だけど
きっと小さな力の集積が、世の中に波紋を広げていけると信じて、
コツコツと活動を続けていく事が大切だと再認識しました。

この震災の復旧はかなり長引くと実感しました。
行政への募金や支援金は末端の本当に困っている人達へは届いていません。
この先も怪しいものです。

一人一人がちょっとの何か出来る事をやって
それの集積が大きな力になると感じます。

小さな事ですが長く長く続けていきます。