自らの目で観、自らの耳で聴く

先日、示道塾の有志のメンバーと七尾市まで支援物資を運んできました。
示道塾としては3回目の物資支援。

その都度、避難所のニーズは変わってきます。
現地で支援活動を行っている仲間から情報を貰って準備をしています。
今回は水と共に大量の簡易トイレや凝固剤、ロールペーパーを運びました。
また、簡単に獲れて栄養価の高く日持ちもするみかんも沢山もっていきました。

七尾まで思っていたより困難もなく行けました。
渋滞どころか普段よりも空いています。

道路は所々で隆起があり、応急処置で補修してありますが
ジャンプ台の様になっているところもあり注意が必要でした。
(何度か見落としてジャンプ台に突っ込み、シートからお尻が浮きそうになりました)

七尾の街をちょっと高台から見下ろすと、家々の屋根が青い。
ほとんどの瓦屋根の家の棟瓦が落ちていました。
古い家は傾いたり、崩れているものもあります。
ブロック塀や石塀も崩れています。

七尾市の7割がまだ断水だそうです。
街中を全国各地の市や町の名の入った上下水道局の車や作業車が走っていました。
今は緊急救出などのフェーズが終わり、インフラ復旧の段階に入っている事が分かります。
各所で県外の上下水道局の方々が道路を掘り水道管の復旧に汗を流していました。
完全復旧は3月になる見込みとの事です。

避難所にて荷物を降ろし、そこの方と少し話をしました。
避難所の課題も次のフェーズに入ってきているとの事。
本当にお金がなく、水も買えないから避難所に来て生き延びている人。
コンビニでも個数制限はあれど水は買えます。お金はあるけどタダで貰えるからと
避難所に来て水を貰っていく人。
公平か平等か。
不満の声も出てきていて、凄く難しい課題が出てきているとの事。
こういう時こそ日本人としての美意識をもって、子供達に恥ずかしくない背中を魅せて欲しいものです。
避難所でも子供達は元気でした。
物資を運ぶのを手伝ってくれました。

当初は昼ご飯を富山で買って行こうかと考えていましたが
水が復旧しない中、営業を再開している飲食店があるとの事で
紹介してもらい、そこで昼食を頂きました。
壁にひびが入り、照明のカバーは落ち、エアコン本体のカバーが落ちて機械が丸見え。
どれくらいの揺れだったのか。想像がつきます。
食器が洗えないので紙コップ、割りばし、紙皿での営業。
出来るだけお金を落とそうと思い三人でお腹いっぱい頂きました。
お隣に座られた地元の方、
店員さんからお冷を貰い「ああ、お水。ありがたい。」の一言。
お冷を頂けるありがたさ。この当たり前の事が、実は凄く有り難い事なんだと
肌で感じました。

今回はなんと七尾市長の茶谷氏との面談までセッティングして頂きました。
茶谷市長のフットワークの軽さに驚きました。
・子供達のメンタルの心配
・七尾だけでなく奥能登も含めた北陸全体での復興
・和倉温泉の被害の甚大さ(雇用の創出)
・この震災を風化させない
短い時間でしたが、七尾市への未来にかける思いを感じました。

地元の仲間からも和倉温泉の被害の事は聞いていたので
温泉街をちょっと見てきましたが、その被害の酷さに驚きました。
大きな建物が傾いていたり、1メートルくらい地盤沈下していたり。
元々地盤の弱いところだったのでしょう。
建物も重いからでしょう。
人間はその英知と技術を使って鉄筋コンクリートの巨大な建物を建造する事はできますが
自然の大きな力には抗えない。
地震の被害にあい廃墟の様になったいくつもの建物の間を車で走って恐怖を感じました。
本来なら観光バスや観光客で賑わっているはずの街。
ほとんど車も走ってなく人もいません。
凄く天気のいい日で、波も穏やかで。
こんないい気持にさせてくれる自然が一度暴れると私達は何もできない。
鉄筋コンクリートのビルなんて建てちゃだめなのでは?とまで考えました。
ずっと地震列島に住んできた日本人は古来よりその災害と向き合って生活してきました。
木造の家の免振性能の素晴らしさは技術で出来たのではなく
生活の中で培われてきたもの。原点回帰する事が自然な事では・・・など建築業としての立場からもいろいろと考えさせられます。
1メートルほど地盤沈下した大きな旅館の、横の芝生公園で小学生高学年くらいの子達が
バドミントンをして遊んでいます。
大変な被害の街ですが子供達にとっては自分の故郷。
復興には大変な時間と労力とお金がかかりそうですが前を向いていかなければいけません。

一番印象に残っている事は地元の人達の力強さです。
現地の仲間や避難所の方々の明るい笑顔。
「おー来てくれたか!ありがとう!!こんなにたくさん!」
と凄い笑顔で大きな声で出迎えてくれます。
水が出ない中お店を開け、笑顔で出迎えてくれて、
「紙コップと紙皿ですいません。メニューも少なくてすいません。」
全く謝る必要もありません。こうやって頑張っている姿を魅せて頂けるだけで有り難い。
「ありがとうございました。また来てください。」
絶対にまた行きます。
どんな境遇でも子供達は元気に笑顔で遊んでいます。
大人たちはそれを必死に護ろうとしています。

支援をしようと思い、現地に行き、惨状を見て
ぎゅっと心を捕まれるような気持になり
少し沈んだ気持ちになりかけていましたが
逆に地元の方々から大きな大きな力を頂きました。

普通の生活が出来ている私達が
もっと元気に
もっと活き活きと
前を向いていかないとダメです。

帰りの車内でも「俺たち、もっと頑張らんといかんな!」と話をして帰りました。

現地の方々に迷惑はかけたくないので、
その時の感情や勢いや雰囲気で善意の押し売りはしたくありません。
しかしテレビやネットの映像や情報だけでは感じられない事が沢山ある事が改めて分かりましたし、復旧には膨大な時間と労力とお金がかかる事も実感しました。
今後も現地の仲間からの情報を元に、細いかもしれませんが長く長く支援を続けていこうと思います。

風化させない。
市長の言葉が胸に残ります。

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