デザインにおいての飽和状態

先週のブログを書き終わった時に、
あ、この「機能を追加していく」状況は
日本の店舗や空間デザインの世界にも当てはまるなと思いました。

先日、日本空間デザインアワードの一次審査をさせて頂きました。
※JCD(日本商環境デザイン協会)の北陸支部支部長だからという事で
おこがましくも審査員になってしまうんです。

330点以上の応募作品に点数を付けていきます。
本当におこがましいですが、私は私なりに基準を持って取り組みました。

応募作品は本当にどれも素晴らしく、良い作品ばかり。
中には最近できた某有名ホテルや、その中のレストランなど
とてもじゃないけど私ごときが審査をするような対象ではない感じの作品もたくさんあります。

沢山の作品を見ていて、だんだんと気が付いてきたのですが、
デザインの要素がどんどん足し算になってきている気がします。

世界のVIPをお迎えする超高級ホテルなので贅を尽くしたデザインにするのは分かりますが、
要素が多すぎる。
ボキャブラリーオーバー。
新素材や新サーフェイスの見本市の様な空間・・・

なかなか言い表しにくいのですが、
例えば、ホテルのエントランス、レストラン、客室
それぞれの空間の大きさやレイアウト、導線、機能ではほとんど大きな違いがないと感じました。
大きさ、レイアウト、導線、機能は似たり寄ったりになってしまうなか
床には新しい石材のタイル、壁は鏡面ステンレスのスリットに間接照明に高そうな素材の塗り壁
天井からはこのホテルの為に設計されたオリジナルの特注照明・・・

要は、その空間に求められる機能や要素はすでに20年以上前に開発されてしまっていて、
しかもそれが成功事例になってしまい、失敗は許されない空気感の中で
導線設計や空間のモジュール設計で思い切って舵を変えた設計提案が出来ない
という現状にあるのではないでしょうか?

なので、見ていてもなんか20年前の商店建築(店舗デザイナーの必須愛読誌)に出てた写真と
そう変わらないな・・・・ ああ使っている素材が新しいな。色使いが今の流行りだな。
くらいにしか感じない作品が多かったと感じました。
※私ごときが大変失礼な事を言っているのは重々承知ですが、しかし率直な感想です💦

ただ、クライアントの要望は満たしているし、多分集客も問題なく出来ているだろうし、
有名高級ホテルの内装として、全く問題なく素晴らしい空間になっています。

そう考えると、
今の日本には全く新しいデザインのアプローチとか、奇抜なアイデア、突拍子もない空間、
今までなかった空間というものにそこまで需要はないのでしょう。

しかし中には、使っている素材はいたって普通のどこにでもある素材ですが
「こんな形の棚で眼鏡(商品)を展示するのか!」
「こんなシンプルな店づくりで商品を際立たせるのか!」
と、アイデアと新しいアプローチ、シンプルで必要な機能を満たした空間、
だけど新しく感じる。
こういう空間が良いデザインだなあと感じました。

デザイナー名は伏せられて審査するので、応募者が誰か?分からないのですが
息をのんだのは中国でした。

作品の所在地が中国なので、多分中国人の方の作品でしょう。
海外からも数名、数十作品が応募されたと聞いています。

中国の方の作品がとてもよかったです。

色もマテリアル(素材)も2つか3つという超シンプルな構成なのに
凄く素敵な空間で。しっかりと機能も果たす。

まだまだ長い成功事例を踏襲する事例が少ないからか?
(工業デザインはポリシーなくアッという間に模倣する国民性なのに・・・)
中国の空間デザイナーさんは、良い方が多くおられますし、
そういう人が挑戦できる土壌があるのでしょう。

ところで、私が好きな日本の空間デザイナーさんで倉又史郎さんという方がいます。

ビビットでエッジの効いた空間デザインをされますが
使われる色や要素は絞られて少ないんです。

多分、日本も70年代や80年代は、デザイナーもチャレンジが許される時代だったのでしょうね。

普段、限られた予算の中でデザイン活動をしている
私達地方のデザイナーの方が、素材を絞って絞って
アイデアで空間をよくする経験が多いので、そういうデザインは強いかと感じます。

 

 

余談ですが!
審査をしながらもう一つ感じた事が!

デザイナーが応募してくる店舗、特に物販店や
物飲店、または飲食店もですが、

商品が並んでいない写真を応募してくる方が多い!

棚に何も並んでいない花屋さんの空間で、
その状態でかっこいい空間でも、
実際にはそこにお客様が来て、一番輝く瞬間は
お店の棚一面に花が並んでいる状態だと
私は思うんです!

なのに、傘のお店、花屋さん、アパレル、
全く商品が並んでいない状態のお店の写真で
どう審査しろっちゅうんや!

申し訳ありませんが、どんなにその状態が素敵な空間でも
審査点は低めの審査をさせて頂きました。

逆に、レストランでも美容室でも
そこを利用するお客様が入って
完成された空間で、良い空間であれば
それが完成形。その状態が一番お店が輝く瞬間です。

特に商品をどうやって魅せようか!ってアイデアを練った
お店は商品並んでいない写真を応募してくる訳ありませんしね。

商品が並んでいない状態で完成されたお店は
商品が並ぶとうるさくなる。
ボキャブラリーオーバー。
商品が目立たなくなる。

昔っからそう思ってるんですけどねー

今、イオンやファボーレに行って
ズラリ並んでいるお店を見ても、
ごちゃごちゃと作り込みすぎなお店が多い!

隣の店が派手に作り込んだ!
うちも作りこもう!
負けてなるものか!

って感じで付けたし付けたし症候群なのでしょうか?

またチェーン店など、5年に1回くらいで
お店のデザインチェンジをします。

イメージやターゲット層が変わる訳ではないのに
デザインを変えるって
デザイナーからすると、結構大変です。

総じて、一番最初のデザインが一番良かった。
となる事が多いですね。

イオンやファボーレのテナントさんでも
そう感じるお店が多いです。

 

一転、スタバやタリーズなどは
デザインを変えない!使うマテリアルも変えない!
という一貫したポリシーでデザインをされています。

新しさはありませんが、いいお店ばかりです。

チェーン店の場合は
それでいいと思うんですよね。

 

付けたし付けたしのデザインではなく
むしろ引き算!くらいの考えでデザインも進めた方がいいと感じました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です