機能を追加する事での差別化

私の古くからのお客さまより連絡を頂きまして、

16年使った食洗器が壊れたとの事。
一般的な家庭用のキッチンビルドインタイプの食洗器です。
メーカーに問い合わせたところ、古すぎてもうパーツが無いとの事で
新しいモノに交換する事になりました。

お客さまからは「今の食洗器と同等品でいいですよ」
との事。
まあ古くなって壊れたけど、機能には何の不満もなかったそうです。

住設問屋さんに品番を伝えて「同等品で」と御願いしました。

最新のカタログを持って来てくれて
「同等品ならこれですね~」と見ていたら
同等品でも節水効率や洗浄効率が随分と良くなっているみたい。
ふむ。お客さまもこの値段でこれなら満足いただけるなと思いました。

カタログの中では結構後ろの方の商品なので
きっとスタンダード品よりチョイ下くらいの商品でしょうね。

気になって、カタログの一番前に掲載されている商品を見てみると・・・

なんだかすごい事になってました。
細かく言うと、
食洗器のパネル表面には一切のスイッチやレバー、表示部がなく
すっきりとただの引き出しみたいに見えます。
「これ、どうやって開けるの?」って聞いたら
パネルをコンコンとノックするとスーっと開くそうです。

また、センサーが中の食器の材質まで感知して、
お湯の出す方向やら量やらを調性して、最適な洗浄をしてくれるとか。

「そこまで要る?」

 

また、
今朝、朝食を食べながらテレビを観ていましたら
電動アシスト自転車の売れ筋№1商品を当てろ!という企画をやっていました。
電動アシスト自転車に乗った事のないアナログな自分ですが、
タイヤが付いている乗り物は全般的に興味がありますので
観ていましたら、

前輪にもモーターが付いている両輪駆動車や、
ペダルを漕ぎ出す力を感知してモーターアシストの力を加減する機能や
満充電で走続距離が60キロとか90キロとか。
(一日でそんなに乗る人は本気サイクラーくらいだろうから電動乗らないよね)

「そこまで要る?」

で、結局一番の売れ筋は、チャイルドシートが一番しっかりしていた
子供機器メーカーのコンビと共同開発の自転車でした。

「その売れてる理由、電動機能に関係なくね?」

 

では、もう一つ。
先程、タイヤの付いている乗り物が好きと書きましたが
それにエンジンが付いているともっと好きです。

クルマもバイクも大好きで
両方とも30年以上昔の車両を大事に大事に所有しています。

クルマに至っては、手回しウィンドウ、集中してないドアロック、
キーを鍵穴に差して回して開けるドア。
マニュアルエアコン マニュアルシフト バックモニターなし
サイドミラーの角度調整も手動ですし、サイドミラーを倒すのも手動です。

でも、私が免許をとったころはこれが普通にありました。
(いや、普通は言い過ぎか。まだ5割はあったかな)

たまに娘と一緒にその30年以上前の車で鈴鹿サーキットや富士スピードウェイまで
レース観戦に行きます。
金曜日の夜に出発して、日曜の夜に帰ってくるまでまる2日間、長い時は往復900キロ
その車で移動しますが、
最初の頃は、窓開けたり、乗る時にいちいちドアロックを開けてもらう待ちに
戸惑ってますが、すぐ慣れます。

ぶっちゃけ現代のクルマの
キーレスエントリー、オートライト、バックモニター
ABS 危険アシストブレーキ ドライブアシスト機能
集中ドアロック、パワーウィンドウ・・・・etc
この際だからオートマも言っちゃえ!

実際には「これ要る?」って思います。

年をとって、安全に運転できなくなり
事故の可能性が高くなってこれば必要かと思いますが、
若い人に関しては、どんどん運転下手が増えていると感じるんですよね。

食洗器も、電動アシスト自転車も、クルマも
元々、求められている機能は十分実装されている。
消費者の「困ったな」というニーズには既に十分応えられていると感じるんです。

これは、以上の3点に限らず、家電、家、事務用品、設備機器、pc関連、スマホ、
クルマ、
全ての一般の方向けの生活必需品や工業製品、建築にまで当てはまるでしょう。

私もクルマが好きなので、趣味でそのクルマが好き!
という気持ちから乗ってます。

実際に家電マニアの方は、そういう最新機能が好き!
と言ってどんどんと買い換えているでしょう。

でも、ほとんどの方は、自分が普段使う上で
ある一定の機能さえ担保されていれば、
要は「困ったな」さえ解決されていれば
十分なはずなんです。

冒頭のお客さまも、
食洗器使えなくて手洗いで洗ってるので不便なんです。
の「困ったな」さえ解決してくれれば、
コンコンとノックして開く食洗器のドアはきっと必要ないでしょう。
究極のところ食洗器は要るの?という意見もあるかもしれませんね。

各メーカーがこぞって売り上げを伸ばそう!と必死になって
商品開発をしている方向が、
お客さまの「困った」を解決する方向ではなく、
「困ってもないけど、付け加えている機能」
の方向になっています。

そして、ここからが本題
(前書きが長い!)

まず、この原因の一つは
現代の消費者層の人々に「困った」がほとんど残ってない事だと思います。
もう満たされて、困ってないんです。
だから、本来はやらなくてもいい商品開発をして
必要でもない機能を付加して、それで差別化を図る。

後は、私も含めて(私は逆に無機能好き)その商品を持っているというブランドの優越感
や、ちょっとの機能を楽しむ感覚でしょうか?

凄い機能の家電をマニアでもない奥様が選ぶ気持ちって
消費者集団心理でしょうか?皆がいい機能のモノを買っているらしいからうちも買う!という感じでしょうか?
実はここ私は良く分かりません????

なので仕方ないんです。
困ってもないけど、どんどん機能を追加して行かないと
売り上げ競争に負けてしまうんです。

数年に1回出てくるパイオニア的な商品があります。

iPhone
ルンバ
テスラ
ダイソン

等、そ商品市場を一気に塗り替える様な商品ですね。

もうその商品に関しては
開発コンセプトが違います。

市場があるか分からないが
チャレンジしよう!という気持ちが垣間見れます。

そういう商品もすぐに他社が類似品を出してきて
また気持ちの悪い付加機能合戦になるんですけどね

上記の商品、残念ながら日本企業ではありません。
今の日本企業の中では「失敗」は許されない気質があるんでしょう。
成功事例を追いかけないと社内の稟議が下りないのでしょう。

過去、ウォークマンで一世を風靡したソニー。
開発部門がルンバの様な自動掃除機を提案したら
中間管理職の段階で「階段から落ちたらどうするんだ」
という意見で通らなかったそうです。

パイオニア的な商品を造るのは今の日本ではなかなか大変で、
そしていざ造っても、すぐにちょっといい機能の類似品が他社で開発されて。
また血の海で競争する。

本当にこの世界で生き抜くのは大変です。

 

では、
いざ 同じ様な商品なのにどうやって買ってもらうか?
ですが。
これから大事なのは、「誰から買うか?」にコミットすべきです。

どんな理念の会社が創ったモノか?
どんな考えで仕事をしている人たちが創ったモノか?
どういう想いで働いている人たちが売っているモノか?

「あんたから買うちゃ!」

 

と、言って貰える人間や集団にならなくてはダメです。

それはなんなのか?

人としての価値を上げる事とは?

他人よりもちょっと仕事が早く出来る。
他人よりもちょっと綺麗にモノが創れる。
他人よりもちょっと良いデザインが出来る。

ではなく。

他人よりも人の事を思えて
自分よりも他人の事を優先して
他人の事を思った仕事が出来る人。

人としての価値基準が変わって来ていると感じます。

 

 

 

さて。
今回のブログ、前回気が乗らなかった分も回収すべく
長いブログになっちゃいましたが、
長いブログついでに!もう少し。

先程書いた、「困りごと」

企業が顧客対象とする消費者層にはもう「困りごと」がないでしょう。
と書きました。

しかし、世界には山ほど「困っている」人たちが居ます。
貧困にあえいで、食洗器どころか、その日飲む水にも困っています。
電動アシストどころか、1日何十キロも歩きながら空き缶を拾ってなけなしの日銭をもらう人達も居ます。
アイドリングストップ機能どころか、畑でとれた野菜を重いリアカーで運んでいる人達も居ます。

ただ、企業の購買層ではないだけなんです。お金を持ってない非購買層です。

やれSDGsだ持続可能だサスティナブルだと聞きますが、機能追加競争やってる時点で
永続的事業なんてもう無理でしょう。考えが破綻しています。
その産業やその市場自体が持続不可能になるでしょう。
そんな事やる余裕があるなら
世界の「困りこと」の支援をしたいものです。
だってもうその「困りこと」を解決できる技術は十分にあるから!(特に利益が出ている大企業さんは)

そしたら喜んでその会社の商品を買うんですけどねー。

当社は、本当にまだまだ小さく、利益もなく・・・・
なかなか世界の「困っている」人達の生活をちょっと良くするお手伝いが出来ません。

そして、当たり前の様にまだまだ大手を振って「SDGs」を掲げきれていません。
※もちろんリサイクル等、大事な事はやってますよ。
でも「持続可能な事業」を根本から考えると、なんか違うなと感じます。

今は、
世界の「困っている」にはなかなか応えられない。
しかし日々、お客様の中で少数う意見ではあるかもしれないけど
確実に困っている方の要望を満たす努力をしています。

世界の「困っている」を解決できる事を事業として出来れば最高なんですが。
だれかそういう事考えれて一緒にやってくれる方、やり方を教えてくれる方
おられませんかね?

なかなか一人で考えても思いつかない!

だとすると、
やっぱり人間力を磨き、会社の社員の価値を高めて、持続可能な事業をして
それから世界の「困っている」の解決に乗り出すしかないのでしょう。

まだまだ頑張ります。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です